自治会・町会インタビュー 桜上水5丁目 -2 兼業役員の増加とラジオ体操の大切さ

以前は自営業で地域に根付いていたり、定年退職をして時間に余裕ができたから参加したりという流れで町会運営に関わるイメージが強かったが、桜上水5丁目の皆さんは仕事をしながら町会役員として活動をされている。

1昔前は区切りがあったと思うものの、今の時代は定年退職後も働く人が増えているため兼業スタイルが当たり前。

町会役員メンバーに専業主婦もいない。男女関係なく仕事をしながら、時間のあるときに関わるといった自分の空き時間をやりくりしつつも「なんとなく地域で繋がりを」と町会活動に参加しているため役員も含めて係のレベルが低くなってしまうのが悩みだ。

桜上水5丁目は古い世代の歴代の会長や役員さんたちが根強く繋がりを作りあげてきて、団地ができてから住民も増えて町会としても何かしなくてはと活動の幅を広げてきた。しかし世の中の働き方が変わっているのと同様、町会・自治会にも関わり方の変換点がきている。

逆に最近はリモートワークの普及などで時間の融通は若い人の方がとれやすそうな気がするので、30代、40代の登録者に協力してもらえる方法はないか。

「空いた時間に少しだけ」という関わり方で運営する町会・自治会は年齢関係なく関われるかたちになっているような気がするが、それをどう伝えればいいか、桜上水5丁目町会の皆さんは思案している。

夏祭りの開催ひとつとっても2、3カ月前から準備が始まる。誰が何を買いに行くとかどんな内容にするか、ポスターを作るなど周知する方法はどうするかなどを何度も打ち合わせを行って決めていく。人脈戦術でそれぞれの役割を持った係の担当が何かが得意な人をみつけてお手伝いを頼んでやりくりしているが、こうした明示化できない“ちょっとした雑務”が多いのが町会運営の特長だ。

夏休みのラジオ体操もコロナ禍前までは実施していたが、一時休止になった。2023年いざ再開しようとしたが人員不足で夏休み期間中続けることが難しいと代わりに1日だけのイベントを開催する運びになった。

なぜラジオ体操の実施が難しいかというと「朝6時半にカセットラジオとスタンプを持参して桜上水5丁目の町会会館前にいること。」それができる人がいないという“たったそれだけのこと”と桜上水5丁目町会の皆さんは言う。

ラジオ体操の準備は電源コードをひっぱってテーブルを出して終わったら子供たちにスタンプを押すだけなのだが、1日だけなら手を上げれても1か月ともなるとさすがに難しくなってくる。

今の時代、なにもカセットテープでなくてもスマホから音源を出すでもいいだろうし、簡素化できる部分はできるだけ簡素化して…と考えるがいっそアウトソーシングも視野にいれるべきだと皆さんは話してくれた。

なぜそこまで「ラジオ体操」にこだわるのかと言うと「本当の地元の人を集めて繋げるため」だと言う。

ラジオ体操の代わりに実施した1日限定のイベントでは、ママ友ネットワークの口コミで町会会員外の人たちが想像以上に集まってしまった。徴収している町会費を還元し、町会員同士をつなげるためのイベントに町会費を払っていない近隣住民の人簿とが集まってしまうと町会の目的とは違った方向性になってしまう。

無料配布の飲み物やプレゼントなどの費用は全て町会費から捻出しているのでしかるべきところに還元できていないことに不甲斐なさを感じてしまうが、だからといってせっかく来てくれた人たちを無下にすることもできないと頭を悩ませていた。

例えば次回開催するときは町会員の子供たちには回覧板を通して何か目印を用意しておき、イベントの告知には目印がない家族には有料で購入してもらうなどして予算の回収方法を検討しなければならない。

もしかしたらそういったルールを知らずに来た人はからはクレームはつくかもしれないが、自分たちを守るためにきちんとルールを用意しておく必要が出てくるなど、「地域の子供たちのために」と実施する施策もそこまで考えなければならない時代になっている。

「僕らの目指しているところは、災害が起きたりした時に顔見知りがいて声かけ合って、助け合えるようにしてきたい。見慣れない人や不審者をみつけたときに情報を交換しあえる関係性が地域にあるのが大事だ」

と桜上水5丁目町会の皆さんは言う。そのためにもラジオ体操が1番有効だと考えている。
子供のころはなんとなく足を運んだラジオ体操も、こうした防災意識を元に考えられたものだったと思うと感慨深いものがある。

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