自治会・町会インタビュー 桜上水5丁目 -1 回覧板は必要か?

桜上水5丁目町会は都心ながら都営団地が立ち並ぶエリアの自治会だ。これまでも広報活動に力を入れてきた。
掲示板の数も限られているし、地域の高齢化に伴い、掲示板をあまりみていないという人に向けて緊急性の高い情報も回覧板で伝えるようにしてきたが、最近、回覧板に批判的な意見が届くようになった。

ポストに溜まっていると不在がばれてしまう。
コロナ禍での非接触意識の高まり。
単純に回すのが面倒。
必要な情報がない。
などなど。

とはいえ、「回覧板を配布する」ことへの補助金などの関係や、新聞離れによる情報伝達手段の減少なども重なり区としてもどうにか情報伝達の手段を確保したい。

補助金が欲しくて回覧板を配布している訳ではないのでそんなにも「やめてほしい声」が多いのであればもう回覧板はいらないのではないか?

役員会でそんな話も出て、いざ回覧板廃止の検討を進める中で改めて自治会員にひとりづつ回覧板の賛否を答うと7割ほどの会員が「続けてほしい」と答えたそうだ。

初めて「意外とみんな回覧板を見ている」と実感した時だった。

桜上水5丁目町会は世田谷の中でも少し特殊な町会だそうで、他の町会がかかえているマンション増加による町会記入率の低下などの課題はそれほど緊急性が高くない。

アパートの大家さんが地元の方が多く、住人の分も町会費を払ってくれているそうで町会記入率は7割を超えると言う。ただし、町会の加入は世帯単位でのカウントになるので町会の情報が地域に住む人全体に届いているかと言うとそこにはギャップが存在する。

そこで「いちのいい」の登録数と町会加入数を比べると開きがでるため、「いちのいち」がどれくらい成果があるかがまだわからないそうだ。

紙の回覧板だと早く回さないと、と家族全員が情報を把握することが難しい分、「いちのいち」にであれば世帯を超えた家族全員が情報を見ることができる。
「いちのいち」の導入で「これまで会員外の人として考えていた範囲の地域住民を町会として会員と認める」となると運用のレベルが変わっていくような気がする、規範やルールをきちんと作って誰に情報を発信しているのかを明確に考える必要があると桜上水5丁目町会の役員さんたちは言う。

2022年までは「いちのいち」を特別取り上げることがなく使い方の様子見をしていたと言う桜上水5丁目町会の皆さんは、2023年に入って「いちのいち」の紹介を積極的に始めたことで増えた登録者数の扱いに思案している。

登録者の増加は嬉しいことではあるが、町会役員の対応が追い付いていない。

緊急のものやきちんと回覧しないといけないものと、登録者のニーズに合わせて広い情報を織り交ぜるべきか、「いちのいち」自体の機能として投稿内容を「回覧」や「自治会からのお知らせ」など分けて投稿できるようになってはいるがアプリの問題以外のスマホの機能的な部分にも複雑にからんでくるので方向性が定まらない。

せめて今までの回覧の中身と同じレベルで、さらに「いちのいち」ならではの運用を検討したいと考えているものの、“兼業役員”だけでは難しい面もあるという。

インタビュー2回目はこの“兼業役員”問題について掘り下げたいと思う。

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