経堂南町会の会長、磯田英子さんは渋谷に生まれて結婚を機に経堂南にやってきた。子供会などの地域の行事には参加してきたものの、民生委員などの具体的な活動についてはご存知なかったそうだ。
そんな磯田さんは45歳くらいのときにご主人を亡くされ、さみしそうにしている磯田さんを見かねた当時の民生委員の方に声をかけられたことをきっかけに地域の身近な人との交流が始まった。

それまではね、全然地域のことに関心がなかったです。
そんな磯田さんも地域と関わる前は専業主婦として基本的には家の中で過ごすことが多かったそうだが、詩吟やパソコンを習うようになり、毎年詩吟のプログラムなどをつくるようになった。



パスっていうのを使ってね、電車に乗って行ってましたよ。
そうして過ごすうちに民生委員の定年をむかえ、自分の好きなことをやりたいなと思っていたら、経堂南町会の前会長さんから電話がかかってきた。
その頃の前会長さんは病床についていて、もう亡くなる寸前だったんじゃないかと磯田さんは言う。
磯田さんに電話でなにか伝えようとしてくれるが全然通じない。
そうしてるうちに前会長のお嬢さんが通訳をしてくれて、「どうしても磯田さんに経堂南町会の会長を受けて欲しい」と言っていると聞かされたそうだ。
磯田さん自身あまり話したりするのは好きではなく、なにかやるにしても陰でやる方が好きなので、と一度は断ったものの民生委員などをやってなかったらこういう話もお願いできないからと前会長から託されるように経堂南町会の会長に就任することになり、現在に至るという。
ご主人を亡くされたときに、地域の民生委員に助けられた磯田さん。そんな磯田さんが今では地域の人々を助ける役割を担っている。
90代とは思えないほどチャーミングな磯田さんを中心とした経堂南町会は和気あいあいとした雰囲気で、地域を守る活動を行っている。近くにある烏山川緑道の景観保持も経堂南町会の管理だそうで、普段何気なく目にしている風景を当たり前にみることができるのもこうした町会役員の皆さんの活躍によるものなのである。

