自治会・町会インタビュー 赤堤一丁目町会 – 2

インタビューをさせていただいたときにお庭のあんずの花を見せていただいた。

前回に引き続き、世田谷にある赤堤一丁目町会の上田会長のお人柄とそのお人柄だからこそ進んでこられた会長への道のりをご紹介したい。

「なんでも飛びつく」上田会長のお人柄

いろんなものを整備したり、防災関係や補助金を活用したコンサートを開催したり、区から提案されたことはとりあえずやってみるという上田会長。

他の役員の方からも「会長が積極的なスタンスで相談してくれるので、町会の役員はじめみんなも巻き込まれて飛びついてしまう」と話ししてくれた。

いつからなんでも飛びつくようになったのですか?

「興味があるものには飛びつくっていう感じですよ。以前から。

地域のいろんな情報を、独り占めにしたくないって思いが私にはあって、それをみんなにお話すると、みなさんも飛びついてくれるから、私が強くいってしまう図々しさみたいな部分もあって申し訳ないなって思うこともあるのですが、自分がやりたいって思ったことはみんなに話してしまいます。」

上田会長は小中のPTA役員や民生委員などの活躍も長く、行政にも地域にも顔が広く、民生委員時代には生活困窮者支援として子供食堂や高齢者宅の学童化やお弁当配達の事業化などにも尽力されたという。

きっかけは塾にいけない子供たちがいる現実の格差を感じたことや生活クラブで運転の仕事をしていたときに“運転”でなにかできないかと思ったこと。世田谷区が様々な支援事業の取り組みを始めたり、前任の民生委員の方が辞められるタイミングが重なり上田会長は地域のために「自分がやれる範囲のこと」を実行に移されてきた。

「誰かと共有することで広がる楽しみみたいなものがある。」

自分の目の届く範囲で気になることをみつける度に自分から飛び込む。そういう性格が今なおパワフルでチャーミングな上田会長の魅力だ。

そんなに地域のことを頑張っているのなら議員になれば?というお声などもあったようだが「議員になって何かを変えたいというのではなく、地域の中で自分がやれる範囲のことでできることがあればやりたいからちょっとスタンスが違うのよね」と上田会長。

空き部屋を持てあましている高齢者宅をお借りして、子供が集まれる場所として親御さんに紹介する。それに賛同してくれた親御さんが費用をだして子供を預け、同じように賛同してくれるスタッフにお給料がまかなえれば、場所代が捻出できなくともそれでよい。

行政の取り組みとすると場所代の捻出はもちろんのこと、パーティションや防災の観点からの環境整備が必要となり、人件費とともに場所代の捻出も不可欠になるが「行政予算をもらうといいたいことがいえなくなる」と10年ほどさまざまな規制とたたかいながら取り組まれた。文書として提出したこともあったがなかなか落としどころがみつからないまま2011年にこの活動は一旦終了する。

「通常、行政施策であれば風邪など軽度の病気の子供は預かることが難しかったりするみたいだけど、365日子供見てたらなんで風邪ひいたのかくらいわかるじゃない、大きな病気じゃない限りは連れていらっしゃいっていってました。それでもいろんなせめぎ合いをして、10年戦いましたけど、敗れました。」

現在ではSNSの普及で問題意識を持った個人が発信を行ったり、行動を起こしたりと可視化されやすくなったが、上田会長はそういった意識が可視化されるずっと前の段階から様々なことに取り組まれてきたから故の知見や“できる範囲”の大切さを実感されているようだった。

そんな“なんでも飛びつく”上田会長が新たに目をつけた自治会・町会向けアプリ「いちのいち」。最終回となる第三回では赤堤一丁目町会での「いちのいち」活用や上田会長の工夫についてお伺いしたい。

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